スポーツ都市東京の実現を目指して
東京都オリンピック・パラリンピック準備局
スポーツ推進部 調整課長
関口 尚志
成熟都市が開催するオリンピック・パラリンピック
1964年東京オリンピックは、戦後復興の象徴として開催され、生まれ変わった首都東京の姿を世界にアピールする機会となりました。
世界に例を見ないスピードで高齢化が進む日本において、2度目の東京大会が開催される2020年には、東京に住む4人に1人が高齢者になるといわれています。
2020年、人々の生活にスポーツが根付き、子供から高齢者まで、そして障害のある人もない人も、スポーツを通じていきいきと暮らしている東京の姿を世界に発信することができれば、成熟都市が開催するオリンピック・パラリンピックの新しいモデルとなるのではないかと思います。
世界トップレベルの目標設定
都は、平成25年3月に「東京都スポーツ推進計画」を策定しました。この計画では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化する「スポーツ都市東京」の実現を目指し、スポーツ実施率(※)を2020年までに世界トップレベルの70%とする目標を設定しています。
都はこの目標達成に向けて、「スポーツに触れて楽しむ機会の創出」、「スポーツをしたくなるまちづくり」、「ライフステージに応じたスポーツ活動の支援」等の戦略に基づき、様々な施策を推進しています。これまでの都の施策の特徴としては、東京マラソンなどの大規模なイベントの開催が挙げられます。このようなイベントに多くの方に参加していただき、スポーツの楽しさを感じていただくとともに、そのイベントそのものが持つ発信力を通じてスポーツ人口のすそ野拡大を目指すというものです。これらの取組や健康志向の高まりから、スポーツ実施率を、平成19年度から5年間で39.2%から53.9%まで向上することができました。
※スポーツ実施率:週1回以上スポーツを実施する成人の割合
ますます重要になる地域スポーツの推進
スポーツ実施率70%を達成するためには、気運醸成やきっかけづくりに加えて、身近な地域で継続してスポーツを楽しめる環境づくりが重要となります。そこで、都は、今年度から新たに、区市町村が行うスポーツ施設の新築や改築、バリアフリー化工事などの整備費の一部を補助する事業を創設し、身近な地域におけるスポーツの場の拡大を目指す取組を始めました。
また、他の世代に比べスポーツ実施率が低い傾向にある20歳から40歳代のスポーツ活動に対する支援も重要です。この世代に対するアプローチは、スポーツ実施率の向上に寄与するだけでなく、その世代が高齢者になってもスポーツに親しむ素地ができるとともに、子供にも大きな影響を与えることになります。
都は、今年度から地域スポーツクラブが実施する子育て世代対象のスポーツ教室等に対する助成を始めましたが、今後、地域のスポーツ団体や指導者との連携を強化し、この世代のスポーツ推進に効果的な施策をさらに充実していきたいと考えています。
スポーツ実施率向上に向けたレクリエーション協会や指導者への期待
スポーツは、健康や体力の維持増進といった効用面を強調されることが多いですが、それをすること自体が喜びや楽しさをもたらすものです。特に誰もが気軽に楽しめ、スポーツをする人に合わせて用具やルールが工夫できるニュースポーツは、スポーツ人口のすそ野拡大に大きな役割を果たすと期待を寄せています。
レクリエーション協会や地域の指導者の皆様には、様々な場所で、多くの方にスポーツの楽しさ、そしてスポーツをする喜びを伝えていただきたいと思います。